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「ADHDの早期死亡はなぜ起こる?」
Lancet 2015; 385: 2190–96
Mortality in children, adolescents, and adults with attention deficit hyperactivity disorder: a nationwide cohort study
<和訳>
ADHDでは、反抗挑戦性障害 行為障害などが併発しやすく、反社会的行動、衝動的な行動、犯罪、事故、薬物使用などにより、死亡率が高いことが知られている。ADHD自体での早期死亡増加はどの程度あるのかをデンマークの大規模コホートで解析した。192万人を対象とし、32061人がADHDであった。解析では、 adjusted for calendar year, age, sex, family history of psychiatric disorders, maternal and paternal age, and parental educational and employment statusを調整して解析した。
1万人を1年間観察した値に直すと、死亡率は、ADHDあり 5·85人、ADHDなし 2·21人であった(調整した死亡率比 adjusted MRR で 2·07、有意差あり)。年齢ごとで解析すると、6歳までで 1·86倍 (95% CI 0·93–3·27), 6−17歳で 1·58倍 (1·21–2·03) , 18歳以上で 4·25 (3·05–5·78)であった。
反抗挑戦性障害、行為障害、薬物使用を除外して解析してみても、調整死亡率比は1.50倍で (fully adjusted MRR 1·50, 1·11–1·98), 女児や女性では2.85倍(girls and women (2·85, 1·56–4·71) )では男児や男性では、1.27倍 (boys and men (1·27, 0·89–1·76).よりも高かった。
<当ブログによる総評>
ざっくりいうと、最近のデンマークではADHDの死亡率は、こどもで2倍、大人で4倍でした。
ADHDによる早期死亡=反抗挑戦性障害、行為障害、薬物使用+ADHDによる死亡(特に不自然死、事故)、と分解されるようです。不自然死、事故の詳細についてもう少し知りたいですね。事故が自損でないなら、事故を起こさないための認知行動療法なども社会的に有用ですね。女児や女性で死亡率が高いというのも驚きでした。
子供でも大人でも、集団での会話で人の話をさえぎったり、かぶせたり、一方的に話し続けたりすると、学校や仕事の対人関係で孤立していまいますね。口は災いの元。多動や衝動性の問題で、人の話をよく聞くのが難しくなってしまうと、知識もかたよりますし、しゃべりすぎる人には他の人から情報が入らなくなってしまい、さらに孤立し、うつ状態、不眠、イライラ(こどもでそれに基づく問題行動)につながります。
ADHDの症状と現在の社会的問題を把握するところから始めて、うまく症状と付き合っていけるようになるように援助していきます。
治療は、お気軽に当院までご相談ください。
愛知県豊田市の心療内科 豊田土橋こころのクリニック 2016年8月開院
2016.04.07 | うつ病のすべての記事,ADHD 多動 不注意 衝動性,こころの症状や病気,女性のうつ病 不登校 子育て 受験 妊娠出産 月経困難 気分の波