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「統合失調症の死亡は一般人口より多い?」 AJP 2013より
Comorbidities and Mortality in Persons With Schizophrenia: A Swedish National Cohort Study Am J Psychiatry. 2013 Mar;170(3):324-33.
当ブログによる和訳
Objective: 統合失調症は早期死亡と関連しいるが、特定の原因や経路は明らかでない。外来患者と入院患者のデータを用いて、死亡率と併存疾患を調べた。
Method: 6097834人のスウェーデンの全国コホート研究では、8277人の統合失調症患者がおり、7年間(2003-2009)の死亡率と併存疾患を調べた。
Results: 統合失調症患者は男性で15年、女性で12年の早期死亡が見られた。これは不自然死では説明されず、虚血性心疾患とガンが多かった。
統合失調症患者の虚血性心疾患による死亡率は、ハザード比で女性では3.33、男性で2.0、がんは女性で1.71、男性で1.44だった。
虚血性心疾患で死亡した人の中で、統合失調症患者は事前に診断されていた人の割合が少なかった(虚血性心疾患で26.3%VS 43.7%、がんで73.9%VS 82.3%)。
統合失調症と死亡率との関係は、女性と働いている人で多かった。抗精神病薬の服薬をしていないと、死亡率は高かった。
Conclusions:
統合失調症では、早期死亡が明らかに多く、その原因は虚血性心疾患とがんであり、診断があまりなされていないようであった。予防的介入として、プライマリヘルスケアを行い、効果的なリスク介入と心血管系の病気とがんのスクリーニングがななどが優先されるべきである。
<総評>
現代のスウェーデンでの結果です。統合失調症患者の早期死亡では、自殺よりも、服薬をしていないこと、心臓の病気やがんの発見が遅れることがあるようです。本文をみるとCOPDも多いようです。女性と働いている人で死亡率が高いというのは意外でした。働いているとあまり医療機関を受診できないのでしょうか。現在は、統合失調症の薬も進歩しており、飲み続けやすく、錐体外路症状の副作用頻度は少なくなってきています。統合失調症とうまく付き合いながら、働いていらっしゃる方も多いと思います。定期的な血液検査をしっかり受け、異常があればかかりつけ医に相談していきましょう。
治療は、お気軽に当院までご相談ください。
愛知県豊田市の心療内科 豊田土橋こころのクリニック 2016年8月開院