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「同じ病気でも遺伝率は集団で異なる?」
Yes
例えば、統合失調症の遺伝率は60-80%とされています。覚せい剤や大麻が氾濫している環境では、環境要因が大きくなり、遺伝要因が小さく報告される可能性がありますね。栄養のばらつく環境では、身長の遺伝率は小さく報告される可能性もあります。
観察した集団の、時代、経済環境、発症リスク物質への曝露量、計算手法(双生児研究によるか、コホート研究によるか)でも変わってきますので、おおよその目安で考えると良いでしょう。実際に、ある疾患の大きく遺伝率の違う集団があれば、環境要因の差について検討すべきでしょう。
ということで、異なる疾患の遺伝率を単純に比べるのには難しい部分もあります。同一コホートで地域ごとに遺伝率をプロットして、分布を確かめることが重要と思います。メタアナリシスのファンネルプロットのようなものです。
遺伝要因の推定はなかなかむずかしい問題です。
愛知県豊田市の心療内科 豊田土橋こころのクリニック 2016年8月開院
2016.04.14 | こころの症状や病気,統合失調症,ヒトの遺伝と多様性に関して