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「EBMにおける内的妥当性と外的妥当性って何ですか?」
「内的妥当性」=その医学論文自体の方法 解析 結果の再現性 考察 結論が適切か、どうかを示します。
「外的妥当性」=その医学論文の内容が目の前の患者に当てはまるかどうか、を示します。
「内的妥当性」の判断は、批判はありますが、同一カテゴリの中であれば、インパクトファクターの高い雑誌や歴史のある雑誌が良いでしょう。評価には専門的な知識による個別判断が必要です。内的妥当性が低ければ、その論文を読む優先度が高くないということになります。
「内的妥当性」が高くても、「外的妥当性」が低ければ、目の前の患者さんにその知識を活かしにくいことになります。「外的妥当性」の判断基準の一つにPICOがあります。
Patient(or Participants) 参加者
Intervention(or Exposure) 介入
Comparison 比較
Outcome 測定基準
例えば、
P 20-40歳 軽症うつ病患者(SCID使用) 身体疾患なし 不安障害合併なし 依存症なし 男女は半々 ランダムサンプリング ランダム割付(センター割付)
I 3ヶ月間、毎日AAAという抗うつ薬を10mg処方
C プラセボ(偽薬)
O QIDS(自記式うつ病症状評価尺度)が半分以下になった割合、副作用スケールにおいての差
この試験でAAAという薬が効果があったと結果が出ても、自分の目の前の患者さんが60歳だったらどうでしょう?重症うつ病患者さんだったら?不安障害を合併していたら?
自分の目の前の患者さんにぴったりくるデータというのはほとんどないわけで、文献と目の前の患者さんの特徴がどれくらい似ているかを考えるときに医師の臨床経験による症状評価や判断が必ず必要になります。試験結果も無数にあるため、信頼のおけるシステマティックレビューの結果とPICOを把握して、それを元に診療を行うことになります。日本における各種ガイドラインは、それらの結果をまとめたもので診療の指針になります。
医学情報の量はどんどん増えています。最新の医療が提供できるように医師も常に知識をアップデートしていくことが求められていると思います。
院長、スタッフ共に医療知識の研鑽にたえずつとめていきます。
こころの問題はお気軽にご相談ください。
愛知県豊田市の心療内科 豊田土橋こころのクリニック 2016年8月開院
2016.04.16 | うつ病のすべての記事,院長の独り言,こころの症状や病気,論文紹介