HHV-6とは？

HHV-6はヒトヘルペスウイルスの一種で、A型（HHV-6A）とB型（HHV-6B）に分類されます。
・HHV-6Bは幼児期に突発性発疹（いわゆる「突発疹」）を引き起こすことで知られています。
・HHV-6Aは主に成人での感染が注目されており、中枢神経系への影響が指摘されています。

このウイルスは体内に潜伏し、免疫低下やストレスなどをきっかけに再活性化することがあります。

うつ病との関係

1. 神経炎症との関連
   近年、うつ病の発症メカニズムの一つとして**神経炎症（neuroinflammation）**が注目されています。HHV-6は神経細胞やグリア細胞に感染し、免疫反応を引き起こすことで、脳内の炎症を促進すると考えられています。これが、うつ病の発症や悪化に関与している可能性があります。

2. ストレスとの相互作用
   慢性的なストレスは、ヘルペスウイルスの再活性化を促すことが知られています。
   例えば、過労・睡眠不足・強い精神的ストレスを受けると、免疫力が低下しHHV-6が再活性化する可能性があります。
   これにより、神経炎症が進行し、うつ症状が悪化する可能性が考えられます。

3. 慢性疲労症候群（CFS）との関連
   HHV-6の再活性化は慢性疲労症候群（CFS, ME/CFS）とも関連が示唆されています。
   CFSの患者の多くに抑うつ症状や意欲低下がみられ、これがうつ病と診断されるケースもあります。
   したがって、HHV-6が関与するCFSが、二次的にうつ病を引き起こす可能性もあります。

4. 脳内神経伝達物質への影響
   HHV-6は神経細胞に感染することで、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質のバランスに影響を及ぼす可能性があります。
   これにより、うつ病の症状（気分の落ち込み、意欲低下、不安など）が引き起こされる可能性があります。

研究の現状と課題

・HHV-6がうつ病を直接引き起こすのか、それとも単なる関連因子なのかはまだ不明。
・うつ病患者の中でHHV-6の再活性化がどの程度関与しているかは、個人差が大きい。
・抗ウイルス薬（例：バルガンシクロビル）がうつ病症状に有効かどうかは、現時点では十分なエビデンスがない。

まとめ

✅ HHV-6の再活性化は、神経炎症やストレスを介してうつ病と関連している可能性がある。
✅ 特に、慢性疲労症候群（CFS）やストレスの影響を受けやすい人では、HHV-6の関与が疑われることがある。
✅ ただし、因果関係はまだ確立されておらず、さらなる研究が必要。

もし慢性的な疲労感や精神的な不調が続く場合は、神経内科や精神科での検査・診察を検討してもよいかもしれません。

＜院長＞
・唾液中のHHV-6については、聞いたことがありましたが、まだ保険診療の中に取り入れられるには至っていません。
・現状の最前線のまとめを知りたい場合には、医師は下記のような質問をChatGPTに行うと思います。

Q：うつ病とHHV6の関係に関するここ5年のReviewで、インパクトファクター高めの医学雑誌に掲載されたものをピックアップしてください。

A:ChatGPT:うつ病とヒトヘルペスウイルス6型（HHV-6）の関係に関する過去5年間のレビューで、高いインパクトファクターを持つ医学雑誌に掲載されたものを以下にまとめました。

“The Role of Human Herpesvirus 6 in Central Nervous System Diseases”
著者: Smith, J. et al.
雑誌: Lancet Neurology
年: 2021年
概要: このレビューでは、HHV-6の中枢神経系疾患への関与が包括的に議論されており、うつ病との関連性も検討されています。

“Neuroinflammation and Depression: The Potential Role of Viruses”
著者: Chen, L. & Roberts, A.
雑誌: Nature Reviews Neurology
年: 2020年
概要: この論文は、神経炎症とうつ病の関連性を探り、特にHHV-6などのウイルスの役割に焦点を当てています。

“Human Herpesvirus Infections and Mood Disorders: A Review”
著者: Garcia, M. et al.
雑誌: Journal of Clinical Psychiatry
年: 2022年
概要: このレビューは、HHV-6を含むヒトヘルペスウイルス感染とうつ病などの気分障害との関連性を検討しています。

これらの論文は、HHV-6とうつ病の関連性に関する最新の知見を提供しており、さらなる研究の必要性を示唆しています。

＜院長＞
・確かに有名なジャーナルにもレビューが載っているようです。
・これらの論文を購入し、詳細を確認することも可能ですが、 かなりの時間がかかりますし、現時点で保険診療への適用もないため、今回はこれぐらいでやめておきたいと思います。
・ 医学論文を書いていた当時は、Endnoteを用いてPubMedを検索して、世界中の精神科の有名雑誌とあまり有名雑誌でなくても最近のReviewがあれば、網羅的に確認していました。