1. 妄想性障害（Delusional Disorder）

• 主な特徴: 現実とは異なる妄想が1か月以上持続する状態です。
• 症状の内容: 妄想の内容は多岐にわたり、被害妄想、誇大妄想、嫉妬妄想、愛情妄想、身体妄想などが含まれます。
• 幻覚の有無: 妄想性障害では、妄想以外の精神病性症状、特に幻覚（例えば幻聴）は通常認められません。
• 機能障害: 妄想以外の認知機能や社会的・職業的機能は比較的保たれていることが多いです。
• 病識: 患者は自分の妄想が正当であると強く信じていることが多く、病識が欠如している場合があります。

2. 統合失調症（Schizophrenia）

• 主な特徴: 妄想や幻覚、思考・言語の障害、感情の平板化など、広範な精神病性症状が持続的に現れる障害です。
• 症状の内容: 陽性症状（妄想、幻覚、思考障害）と陰性症状（感情の平板化、意欲の低下、社会的引きこもり）があります。
• 幻覚の有無: 幻聴や視覚的幻覚などの感覚的な幻覚が一般的に認められます。
• 機能障害: 認知機能の低下や社会的・職業的機能の著しい障害がしばしば見られます。
• 病識: 多くの場合、自分の症状に対する認識が乏しく、治療への抵抗があることがあります。

DSM-5における診断基準の違い

• 妄想性障害: 妄想が1か月以上持続し、妄想以外の精神病性症状がないことが特徴です。
• 統合失調症: 妄想、幻覚、思考障害、感情の平板化などの症状が複数同時に現れ、少なくとも6か月以上持続することが診断の要件となります。

まとめ

統合失調症は、妄想や幻覚などの精神病性症状が多様で、機能障害も顕著であるのに対し、妄想性障害は特定の妄想が持続することが主な特徴であり、他の精神病性症状や機能障害は比較的軽度であることが多いです。

＜院長＞　妄想性障害のさらに軽いタイプで、妄想＝訂正不能な確信レベルまでは至っていないが、関係念慮と呼ぶには重いレベルの来院者が時々いらっしゃいます。不安障害や気分障害の重症タイプと看做すこともできますが、妄想性障害の前駆症状である事もあるため、慎重な判断が必要だと思います。