1. 自己評価の低さ（自己肯定感の欠如）

• 問題: 他人の評価を過度に気にし、自分がどう見られているかに対する不安が強くなります。このため、自己評価が低くなり、自己否定的な思考が強くなります。
• 実例: 会議で自分の意見を言おうとするが、「もし自分の発言が間違っていたらどうしよう？」、「周りの人が笑っているかもしれない」と心配し、結果的に発言を避けてしまう。

2. 過剰な自己監視

• 問題: 社交場面で過度に自分の行動や言葉を気にしすぎるあまり、自然な行動ができなくなります。この過剰な自己監視が、かえって緊張や不安を強め、社会的なつながりを難しくします。
• 実例: 会話をしているとき、言葉を発する前に「今、笑顔を作っているだろうか？」「手の動きが不自然じゃないか？」と気にしすぎて、会話がぎこちなくなり、相手とのコミュニケーションがうまくいかない。

3. 「失敗したらどうしよう」という恐怖

• 問題: 社交場面で失敗を恐れ、予期しない問題が生じることに対する過剰な心配を抱えることが多いです。失敗を恐れるあまり、実際には問題ない場面でも強い不安を感じます。
• 実例: 初対面の人と話すとき、「もし自分がうまく話せなかったらどうしよう」「相手が不快に感じてしまったらどうしよう」と思いすぎて、会話の内容に集中できず、結果的に会話が続かない。

4. 「みんなが自分を見ている」と感じる過剰な感覚

• 問題: 他人の視線や評価を過剰に意識し、常に周りの人々が自分に注目していると感じることがあります。この「注目されている」という感覚が、過剰な緊張を引き起こします。
• 実例: 大勢の前でプレゼンテーションをしているとき、全員が自分を批判している、または自分の欠点に気づいていると思い込み、結果的に声が震えたり、発表がうまくいかないと感じる。

5. 「完璧主義」の傾向

• 問題: 社交場面での「完璧な行動」を目指すことが、かえってプレッシャーとなり、不安を増加させます。小さなミスでも大きな問題だと感じ、自分に対する期待が高くなりすぎます。
• 実例: 友達との食事で、会話の中でちょっとした言い間違いをしてしまうと、「相手にどう思われたんだろう」「もう会話がうまくいかないかもしれない」と過剰に心配し、その後の会話がぎこちなくなる。

6. 回避行動の増加

• 問題: 社交場面を避けることで、短期的な不安は軽減されますが、長期的には不安が強化され、社交不安症が悪化します。回避行動が習慣化することで、社交的な機会を逃し、孤立感が強まります。
• 実例: 職場の飲み会や同僚とのランチの誘いを何度も断るようになり、社会的な交流を避けることで、後で自分が孤立していると感じるようになる。

7. 他人の評価に依存する自尊心

• 問題: 他人からの評価が自己価値の基準になりやすく、他人が自分をどう思っているかを常に気にするため、安定した自己評価を保つのが難しくなります。
• 実例: 他人に「良い印象を与えなければならない」と感じ、完璧に振る舞おうとするあまり、自然な自分を出せなくなり、逆に自己評価が下がってしまう。

まとめ 社交不安症においては、自己評価の低さ、過剰な自己監視、失敗への恐怖、過剰な感覚、完璧主義、回避行動などの心理的問題が絡み合って、社交的な場面での不安や困難を引き起こします。これらの心理的な課題を克服するためには、認知行動療法（CBT）などの心理療法が効果的であるとされています。

＜院長＞
・診療でよくある問題につながりやすい心理状態をリアルに再現してくれました。これはすごいですね。
・当院では、CBTのエッセンスを用いた認知行動変容アプローチを用いて診療を行っていますので、お悩みの方はご相談くださいね。