・Hoarding disorder ＝溜め込み障害　とDSM-5では呼ばれます。

・ゴミ屋敷にはいろいろな理由があると思いますが、溜め込み障害によって、家にたくさんものがたまってしまったり、ゴミ屋敷状態になってしまう状況は、時々ニュースにもなっていると思います。



有病率と遺伝要因を検討した文献を見つけました。

＜論文紹介＞ Prevalence and Heritability of Compulsive Hoarding: A Twin Study Am J Psychiatry. 2009 Oct;166(10):1156-61.

・強迫的ため込み症の有病率と遺伝率 によると、5022人の双子を追跡して（平均年齢55.5歳 (SD=13.4; range=17–86)、2.3%に重度（HRS-SRというスケールを使用 0-40点、18点以上で、診断への感度特異度95%、Cronbach’s alpha=0.86）の溜め込みが見られ、男性で4.1%、女性で2.1%という報告があります。

・女性では、遺伝要因が全体の約50%の分散を説明できたと報告されています。つまり、女性では遺伝要因が統計的に認められました。姉妹による共有環境の要因は大きな影響はなかったようで、非共有の環境要因も発症に影響を与えているとの結果でした。

・男性は症例が少なく、統計パワーが足りないとの結論でした。 トゥレット症候群やOCD（強迫性障害）の症状としての文脈で、強迫的ため込み症の発症に関係する遺伝子を特定しようと、たくさんの研究がなされているようですが、結果には一貫性がないという報告もあります。

＜ブログによる総評＞
強迫的ため込み症は有病率2.3%と一般集団で多く見られ、遺伝要因の影響が指摘されている（女性）、男性に関しては統計パワー不足で今後の研究が待たれるとのこと。より最近の研究だとどうなっているのでしょうか。 ため込み症の病因病態に基づく分類や治療の発展を期待しています。

豊田市の心療内科　土橋こころのクリニック　2016年8月開院予定　(7月予約開始予定)