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「若者にもため込み症ってある?」
・Yesの報告があります.
<論文紹介>
Prevalence, comorbidity and heritability of hoarding symptoms in adolescence: a population based twin study in 15-year olds. PLoS One. 2013 Jul 10;8(7):e69140
Abstractをざっくり解説します
Background:Hoarding Disorder (HD) 溜め込み障害は、わりと高齢の人に起こる問題だとされてきたが、さかのぼって調べてみると、児童青年期に初めて症状を経験していると述べる。本研究では、15歳までのHDの有病率、併存症、病因について調査した。
Methods :一般集団の15歳の双子3974人における、明らかなため込み症状をHRS-SR(自記式)を用いて調べた。併存障害は、OCD ASD ADHDを親からの報告により調べた。
Results:臨床的に意味のあるため込み症状は2%に見られ、女性の方が有病率が明らかに高かった。併存障害の有病率は、OCD 2.9%, ASD 2.9%, ADHD 10%であり、HDを持っている人といない人で同じくらいであった。男性では、遺伝要因と非共有環境の効果がほとんどの分散を説明できた。対照的に、女性では共有環境と非共有環境でほとんどの分散を説明でき、遺伝要因は無視できるくらいであった。
Conclusions:ため込み症状は、比較的若い世代にも良く見られ、特に女性に見られ、苦しみや障害を引き起こす。ため込みは他のよくある神経発達障害(OCD ASD ADHD)とほとんど関係なく、DSM5における独立した診断を支持するものである。
<ブログによる総評>
・15歳の時点でもため込み症がけっこうあること、ADHDとの関連が解析ではあまりなかったこと、は驚きでした。
・男女差が指摘されていますが、結論的なことは今後の研究が待たれると思います。
・ADHDがあると片付けられなくて、ゴミが溜まりそうな感じはしますが、ひどいため込みまではいかないということでしょうか。
豊田市の心療内科 土橋こころのクリニック 2016年8月開院予定 (7月予約開始予定)
2016.04.21 | こころの症状や病気,論文紹介,その他の不安症,ヒトの遺伝と多様性に関して,DSM-5