NNTの数字を計算する時に、あらかじめアウトカムを小さく設定すれば、NNTが小さくなってしまうという問題があると思いますが、この問題への対策について教えてください。:Chat GPTに聞いてみたシリーズ
<院長> この質問は、やや玄人向けの質問になります。以前から言語化したいと思っていたので、Chat GPTに聞いてみました。
Q:NNTの数字を計算する時に、あらかじめアウトカムを小さく設定すれば、NNTが小さくなってしまうという問題があると思いますが、この問題への対策について教えてください。
A:ChatGPT: NNT(治療必要数)のアウトカム設定による影響とその対策
問題点:アウトカムを小さく設定するとNNTが過小評価される
NNT(治療必要数:1人の患者に利益をもたらすために必要な治療人数)は、以下の式で計算されます:
NNT=ARR1=P対照群−P介入群1ここで、アウトカム(治療の有効性の定義)を軽微なものに設定すると、イベント発生率 P対照群 との差が大きくなり、ARR(絶対リスク減少)が増加するため、NNTが小さくなる という問題が生じます。
たとえば、
- 「心筋梗塞による死亡」をアウトカムにすると、発生率が低くなりNNTが大きくなる。
- 「軽度の血圧低下(10 mmHg)」をアウトカムにすると、発生率が高くなりNNTが小さくなる。
このように、軽微な改善でもNNTが小さいと、治療の効果が過大評価される可能性があります。
この問題への対策
1. 臨床的に重要なアウトカムを選定する
- 軽微な改善ではなく、患者の健康やQOL(生活の質)に実際に影響を与えるアウトカムを設定する。
- 例:「血圧10 mmHg低下」ではなく、「脳卒中リスクの低下」など。
2. 軽度・中等度・重篤なアウトカムを分けてNNTを計算する
- 異なるレベルのアウトカムごとにNNTを提示し、治療の効果を適切に評価する。
- 例:降圧薬の効果を評価する場合
- NNT(軽度の血圧低下) = 20(臨床的意義が低い)
- NNT(心血管イベント予防) = 100(より重要な指標)
3. NNTとNNHを比較してリスク・ベネフィットを評価する
- NNT(治療の有益性)とNNH(副作用リスク)をセットで提示することで、バランスの取れた評価が可能。
- 例:
- NNT = 50(50人治療すると1人の脳卒中を防げる)
- NNH = 500(500人治療すると1人が重篤な出血を起こす)
- → NNTがNNHより十分に小さいため、治療は有益。
- 逆に、NNTが大きくNNHが小さい場合、治療のリスクが高くなり、適応を慎重に検討する必要がある。
4. NNTを他の効果指標(RR, ARR, OR)と組み合わせて解釈する
- 相対リスク(RR)や絶対リスク減少(ARR)と併用することで、NNTの解釈をより正確にする。
- 例:
- ARR = 2%(絶対リスク減少)
- RR = 0.8(リスクが20%減少)
- NNT = 50(50人治療すると1人に利益)
- RRが大きくてもARRが小さい場合、NNTが過大評価される可能性があるので注意する。
まとめ
✅ NNTを過小評価しないために、臨床的に意味のあるアウトカムを慎重に選定する。
✅ 異なるレベルのアウトカムごとにNNTを計算し、過大評価を防ぐ。
✅ NNT単独ではなく、NNHやARR、RRと併用して総合的に解釈する。
✅ NNTとNNHのバランスを評価し、治療のリスク・ベネフィットを判断する。
このような対策をとることで、NNTの適切な解釈が可能になり、治療の実際の有益性をより正確に評価できます。
<院長>
・とても分かりやすくまとめてくれました。
・NNTとNNHへの理解は、臨床化としては必須だと思います。
2025.03.10 | Chat GPTに聞いてみた,診療での疑問への回答,医学論文の読み方,医院ブログ